∽ 環境問題 ∽
[地球温暖化]
地球温暖化は、待ったなしです。2月2日発表のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第四次報告で、最悪の場合、今世紀末の平均気温が、20世紀末に比べて最大6.4度上昇するという予測が示されました。工業化前に比べて気温が2度上昇したら取り返しがつかなくなると言われていますが、今のままでは20年で2度上昇を突破すると予測されています。 気温上昇を2度に抑えるためには、2050年までに温室効果ガスの排出量を半減することが必要とされ、日本が議長国としてまとめた京都議定書は、第一歩の取り組みに過ぎません。しかし京都議定書で二酸化炭素排出6%削減を約束した日本は、現状では削減どころか、8.1%も排出量を増やしています。委員会で繰り返し排出半減の中長期目標を設定することを訴えてきて、やっと6月、安倍総理も半減を世界共通の目標として提案すると発表しました。しかし、日本自身が、まず自ら半減を約束しなくては説得力がありません。 民主党の「脱地球温暖化戦略」は日本自ら2050年より前に半減する目標と、目標達成のための具体的な施策を盛り込んでいます。この戦略を掲げ、委員会などでの取り組みをさらに強めていきます。
[アスベスト対策]
アスベストによる健康被害は、人類史上まれに見る、複雑で深刻な「社会災害」です。政府は遅くとも1972年にはアスベストの危険性を認識していましたが、対応が後手に回りました。また、アスベスト被害者の救済も労災補償しかなく、工場周辺の住民や、建物や製品に使われたアスベストを吸い込んでしまった方々、どこでアスベストを吸い込んだかはっきりしない方々は補償の対象とならなかったのです。労災補償にも時効の壁があるなど、問題がありました。 民主党は「アスベスト問題プロジェクトチーム」を設置し、私もチームの副主査、参議院環境委員会の理事として「すきまのない救済策」を目指して取り組みました。 164通常国会では、政府提出の「石綿による健康被害の救済に関する法律案(救済法案)」と「石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律案(被害防止法案)」を審議しました。救済法案の内容は労災補償とは大きな格差があり、被害者の方の必要に応えるものではなく、民主党は修正案を出して反対をしました。私は本会議で救済法に対する反対討論を行い、国の責任を踏まえた対応を求めました。 民主党が独自に提出した「石綿対策の総合的推進に関する法律案」は、衆議院の環境委員会に付託されて継続審議になっています。 救済の充実と「ノンアスベスト社会」の実現を目指します。
[殺虫剤2法]
164通常国会では、市民団体の皆さんと取り組んできた「殺虫剤等の規制等に関する法律案」と「害虫等防除業の業務の適正化に関する法律案」の2つの法案を提出しました。6月15日には、環境委員で趣旨説明を行いました。 農薬や殺虫剤・殺菌剤・除草剤などの薬剤は、農地だけでなく、私たちの生活環境の多くの場面で使われています。もともとこれらの薬剤の成分は身体には毒ですから、危険性を知って、よほど使い方に気をつけなくてはなりませんし、危険な薬剤の使用を減らしたり無くしたりする必要があります。 また、大人だけで70万人と言われる化学物質過敏症の患者さんにとって、こういう薬剤を吸ったり、触れたりすることは命に関わる危険なことですが、いつ、どこで、どういった種類の薬剤が使われるか分からないために不安な日々を過ごしている方が大勢います。 「殺虫剤等の規制等に関する法律案」は、殺虫剤などに使い方や、健康や生活環境への危険を表示することの義務づけや、住宅地で撒くような場合のルールを都道府県知事などが決めることなどを定めています。 残念ながら国会閉会とともに廃案となりましたが、関係者や他党の議員とも議論をして、より良い法案にしあげて成立を目指します。
∽ 人権問題 ∽
[人身取引]
「人身取引」は、「搾取を目的として不法な手段(暴力をふるったり、だましたり、弱い立場につけこむこと)によって人を採用、運搬移送、受け取ることなどの全体」のことで、被害者が18歳未満の場合には、不法な手段がなくても、人身売買とされます。日本の場合、とくに売春目的の人身売買が大きな問題です。2004年の8月30日から9月3にかけて、ユニセフの方々のお世話で神本美恵子参議院議員らと、タイとカンボジアに視察に行きました。現地では、タイやカンボジアの取り組み、人身取引の被害者を送り出してしまっている現場などを視察しました。2005年の通常国会では、政府が提出した刑法・入管法・風営法の改正案を審議しました。この改正案を含めた一連の政府の対策では「人身売買罪」創設、出入国管理の強化、私たちが強く求めてきた被害者の保護(被害者を「犯罪者」として強制送還するのではなく、保護の対象とすることなど)が目立ちました。これらの対策は一見網羅的ですが、肝心な被害者保護などの点で大変心配な点が残りました。被害者の保護が不十分だと、被害者が名乗り出られず、ますます人身取引が地下に潜ってしまう恐れもあります。民主党は、被害者の保護に重きを置いた対案を準備。私も、被害者の人権を基準とし、人身取引の防止から被害者が帰国して社会にうまく戻れるような支援まで包括的な対策が実現できるよう、NGOや婦人相談所など現場の皆さんに教えていただいていること、タイとカンボジアで学んだことを委員会での質問に生かしました。
[障害者権利条約]
2001年12月の国連総会で「障害者の人権及び尊厳を保護・促進するための包括的総合的な国際条約に関する決議」が採択され、障害者権利条約制定の議論がスタートしました。私も「国連障がい者の権利条約推進議員連盟」のメンバーとして、とくに障がいを持つ子どもたちが、障がいのない子どもたちとともに学ぶことを選択する権利に関心を持って取り組んできました。2004年8月3日から9月3日にかけてニューヨークで行われた第4回国連総会アドホック委員会には、原口一博議員・石毛えい子議員・今野東議員らとともに参加し、NGOのイベントで発言をしました。この条約は、ついに昨年12月に国連総会で採択されました。今後は、早期批准と政府による確実な遵守の監視、さらに統合教育や障がい者差別禁止法の実現など施策の充実をめざして取り組みます。
[戦時性的強制被害者問題]
2001年から、本岡昭次元参議院副議長が中心になって法案化した「戦時性的強制被害者問題解決促進法案」を野党3党で提出し、成立を目指しています。いわゆる「慰安婦」問題について政府は法的に既に解決済みという立場ですが、高齢化し、今も苦しむ被害者の人権問題として避けて通ることはできません。「慰安婦」は、戦争中に日本の軍人に対して性的な慰安をさせられた女性たちです。尊厳と名誉を傷つけられた彼女たちの多くは、戦後も自らの被害について語ることができず、家族や地域からも孤立してきた方たちも少なくありません。裁判でも、今も続く心身の苦痛を含めた被害が認められたりしていますが、政府は、国際条約などによって法的責任の問題は解決済みであって、道義的な責任も女性のためのアジア平和国民基金による取り組みによって果たしたと言っています。「基金」による事業を受け入れた女性もいますが、基金が民間団体であることなどから、国の誠意を認めず、あらためて政府による公式の謝罪や賠償を求めている女性も多く、韓国や台湾の政府もこの立場です。また、基金の事業は中国などの被害者を対象にしていません。 「戦時性的強制被害者問題解決促進法案」は国の法的責任の問題に触れることなく、国として謝罪し、また国の責任で名誉回復の措置をとることで女性たちの尊厳と名誉を回復しようとするもので、各国の被害者団体や議会からも理解をいただいています。これまでに参議院の内閣委員会での質疑、参考人質疑が1回ずつ行われており、現在も継続審議となっています。より多くの国民、国会議員の理解を得て法案成立を実現できるよう、丁寧に、そして急いで議論を重ねていきたいと考えています。
∽ 男女共同参画・両立支援 ∽
[子育て支援]
2006年3月22日、和田ひろ子参議院議員、神本美恵子参議院議員とともに、発議者として「子ども手当法案」を提出しました。政府の児童手当法等改正案への対案として提出したものです。26日には厚生労働委員会で趣旨説明を行い、翌27日には答弁者として委員の質問に答えました。政府案が小学校修了までの子どもを対象として、第1子と第12子に月5千円、第3子以降に1万円を出すことにしているのに対して、民主党案では中学校修了までの子ども1人につき、月額1万6千円を支給することにしています。また、政府案には860万円、780万円という所得制限があるのに対して、民主党案では所得制限を設けていません。民主党は子どもひとりひとりに着目して、その子育てを社会全体で支えるしくみとしているのです。民主党案は政府案とともに審議されましたが、審査未了で廃案となりました(衆議院で提出された同趣旨の法案は否決)。民主党は今後とも、ワークライフバランスの実現や幼保一元化、小児救急医療の体制整備などとあわせ、総合的に子育てを応援する施策の実現を目指していきます。
[民法改正]
5月31日、提案者として民法改正案を他の2党と共同提案で提出しました。主な内容は、(1)現在男女で異なっている婚姻できる年齢を、一律に18歳とすること (2)離婚後の再婚禁止期間を6月から100日に短縮すること (3)現在いずれかに統一している夫婦の氏を、選択的に別姓にすることを認めること (4)現在嫡出子の2分の1となっている非嫡出子の相続分を、嫡出子と同一にすること、です。この法案を野党共同で参議院に提出するのは9回目です。また民法改正を提唱した法制審議会の答申からもすでに10年が経っていますが、今日まで自民党の反対で本格的な審議にいたっていません。
∽ 平 和 ∽
[9.11]
「同時多発テロ」が発生した2001年9月11日、私は参議院からの派遣でフィリピンにいました。10月3日、参議院本会議で小泉総理大臣に対して、テロ対策について質しました。「目的はあくまでもテロをなくすことで、対米協力が自己目的化してはならない」と主張。また、憲法前文の一節を挙げて、「日本は公正なルールに基づいて正義を守り、テロや戦争の根本原因に迫り、解決にむけて努力し世界に発信していくべき。人権擁護や環境問題への取り組みを充実させる姿勢を示すことで国際社会における名誉ある地位を占めることを目指したい。」と訴えました。
[女性国会議員有志による申し入れ]
米国によるイラク攻撃が懸念されていた2003年3月12日、日本政府が攻撃に反対し、平和的な解決を目指すことを求め、広中和歌子参議院議員とともに女性国会議員の有志を募り、42名の連名で小泉総理に申し入れをしました。官邸では福田官房長官が対応しました。申入書では、日本政府の立場が、武力攻撃反対が8割を超える世論を反映していないことを指摘し、国際的なルールにのっとったアプローチが重要であるとし、国連の査察活動を強化して継続すべきだと提案しました。
[アフガニスタン訪問]
2002年4月5〜12日。民主党の女性議員訪問団団長として、アフガニスタンとパキスタンを訪問しました。アメリカの空爆、タリバン政権の崩壊を経て復興に取り組むアフガニスタンで、とくに女性のおかれた現状、女性の役割などについて調査する目的でした。現地では、女性の自立支援をしているNGOや教育再建に取り組むユニセフの活動、海外のNGOによる地雷撤去の現場を訪れ、またシマ・サマル女性大臣と面会をしました。もっとも印象的だったのは、長い紛争の末に学校に戻った子供たちの表情の明るさです。子供たちの笑顔から、学ぶことの重要性を学びました。また、イタリアのNGO、「エマージェンシー」で働くイタリア人女性から「日本は憲法9条を生かすことによって世界に貢献して欲しい」という力強い言葉をもらい、憲法9条の重要性に確信を持ちました。
∽ こども・教育 ∽
[いじめ]
1994年に文部政務次官に就任した際、エイズ問題とともに力を入れたのがいじめ問題です。中学生のお嬢さんを自殺で亡くされた方とお会いしたのがきっかけです。いじめ問題に取り組みたいと文部大臣に訴え、「いじめ問題等に関する調査研究協力者会議」を任されることになりました。また地元でもシンポジウムや電話相談ホットラインの設置などを行いました。その後は、国会でチャイルドラインの支援などに取り組んでいます。
[ 不登校 ]
1年間で30日以上学校を欠席する子どもが、今、全国に12万人以上います。およそ100人に1人の割合です。不登校の問題には幅広い観点から取り組む必要がありますが、学校に行けない子どもたちの学ぶ権利をどう保障するかという問題も大切な課題のひとつです。 165国会(2006年)では教育基本法特別委員会で質問をし、この問題を取り上げました。不登校の子どもたちのなかには、教育委員会が設置する適応指導教室や民間のフリースクールで学んでいる子どもたちも少なくありません。そこで、適応指導教室・民間のフリースクール等の全国の数を聞きましたが、適応指導教室は1,061か所、フリースクール(在籍校で出席扱いの実績のあるところ)は204か所しかなく、このような不登校の子どもが学習する場がない市町村が多いことが分かりました(市町村は全国で約1,800)。住んでいる地域によって、学ぶ環境の格差がある現状を変えていく必要性を訴えました。
∽ 医 療 ∽
[難 病]
2005年7月、「民主党難病対策推進議員連盟」の設立に発起人として参加し、副会長を務めています。07年度予算に向けては、難病対策縮小の動きに対して議連として取り組み、患者・家族の皆さんとの意見交換や、厚労省や財務省への申し入れを行いました。パーキンソン病と潰瘍性大腸炎患者の一部を医療費公費負担の対象から外す方針が示されたことについては、今年度(07年度)は回避することができましたが、来年度については保障がありません。引き続き、取り組みます。 現在、難病の方の医療費は、「研究費」という形で公費負担されていますが、本来は総合的な難病対策の一環として、難病患者の方に対する福祉として公費負担されるべきです。その方向で努力をしてまいりますが、当面の対応として、難治性疾患克服研究事業について、(1)希少性 (2)原因不明 (3)効果的な治療法が未確立 (4)生活面への長期にわたる支障のいわゆる4要素を満たす疾患は、要望のある限り、すべて対象とすること、都道府県の負担を増やすことなく、これを実現するための財源を確保することなども求めていきます。
∽ 災害対策 ∽
[2003年宮城県北部地震への対応]
2003年7月26日、宮城県北部地震が発生しました。地震の直後に被災地をまわり、被害の大きさに衝撃を覚えました。9月に参議院の災害対策特別委員会の閉会中審査で質疑を行い、激甚災害指定、住宅再建支援、耐震改修などについて訴えました。「激甚災害指定」については、5月の地震、大雨、冷害に相次いで襲われて被害の実態が複合的になっていることを訴えました。内閣府の答弁は「複数の被害を合計して査定することができないことを理解して欲しい」というものでしたが、鴻池防災担当大臣に食い下がったところ、「政治家として、何とかならないかなという思いがある」などとの答弁をもらいました。(その後、矢本町、河南町、鳴瀬町、松島町について激甚指定されました。)
[住宅再建支援]
2003年宮城県北部地震の後、宮城県は苦しい財政の中、独自の制度として全壊家屋に100万円、半壊に50万円を支援する制度を設けました。その後政府も都道府県と共同で基金を設けましたが、これも住宅再建支援としては十分でない200万円の支援です。これに対して民主党は、全壊で500万円支給、賃貸も対象、といった支援策を主張してきました。災害対策特別委員会で大臣に質したところ、「金額については、果たしてこれでいいか、と思う。背中を押すという考え方で、民主党が考える方向に行くかもしれない。ハードルはある。」という答弁でした。2005年8月3日には、私も提案者となり、民主党として被災者生活再建支援法改正案を提出しました。住宅本体への支援金の支給を容易にするとともに、支援金の金額を引き上げる内容です。学校や病院、住宅の耐震化も緊急課題です。
∽ 行政改革 ∽
[随意契約]
2006年の通常国会で、環境省の随意契約について集中的に取り上げました。3月22日の質疑では、契約額上位五十位の企業の落札率が98パーセント弱だったことが明らかになりました。その後、メディアの追及もあって政府全体の見直しにつながりました。2007年3月にあらためてこの問題を取り上げ確認をしたところ、06年度(12月末まで)は、随意契約が前年度のおよそ77%からおよそ27%と半減以下となり、07年度予算では、見直しの結果、6,850万円の削減を見込んでいることが分かりました。まずは6,850円の税金を節約できそうですが、契約の選定方法を実際に決めるのは年度が始まってからです。本当に見込み通り減らすことができるか、さらに削減できないか、逆に「安かろう、悪かろう」にならないように、どうやって事業の質を担保するか。引き続きしっかり監視をし、考えていきます。