2004年06月02日


活動ニュース

6月2日

「公益通報者保護法案」に関する参議院本会議での代表質問


040602

 


  2004年6月2日
   
  ○岡崎トミ子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました公益通報者保護法案について竹中経済財政担当大臣に質問をいたします。

この数年、行政や企業の内部からの通報で私たちの命や健康に重大な被害を及ぼしかねない不祥事が相次いで明らかになりました。二〇〇〇年、三菱自動車工業のリコール隠し、二〇〇一年、東京女子医科大学の医療ミスとカルテ改ざん、二〇〇二年、雪印食品による肉の偽装表示、同じく二〇〇二年、ダスキンによる食品衛生法上認められていない物質の使用と日本ハムによる肉の偽装表示、東京電力による検査記録の改ざん、そして今年、浅田農産による鳥インフルエンザの疑いがあった生きた鶏の出荷です。

これらの不祥事については、勇気ある告発によって被害が未然に防がれたり拡大が抑えられたりしてきました。取り返しの付かない被害が出たケースでも再発防止につながった例が少なくありません。私たちの社会は、告発者の勇気によって自浄機能を発揮してきたと言えるのです。

しかしながら、そうした告発者の多くは、勇気ある決断をしたにもかかわらず、いわれのない代償を払わされてきました。狭い組織の中で裏切り者扱いをされて陰湿な嫌がらせに遭ったり、差別的な取扱いを受けるなどの制裁を受けている例が少なくないのです。不当配転され、三畳一間の部屋で仕事も与えられず、二十数年孤独と闘わされた人もいます。正しいことを信じたために、信念に基づいて行動した告発者たちを救うことができない社会は未来への希望を失わせる社会です。

私たち民主党が、今日、この政府案とともに趣旨説明が行われた行政運営適正化公益通報法案をいち早く提案したのは、告発者の名誉を回復し、その勇気に報いなければならない、そして不祥事による被害を防止したり、社会を良くしたいという市民の強い声を受けてのことでした。

こうした経緯からも、公益通報者を保護し、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護と公益の利益の増進に役立つ公益通報者保護法が待たれています。にもかかわらず、私はこの政府案が衆議院を通過し、今日、こうして参議院での審議の段階に至ったことに大変な危惧の念を抱いています。私だけではありません。公益通報者保護法の実現を願ってきた人々の政府案に対する評価は辛らつです。政府案が国民の願ったものとは全く違ったものになってしまったからです。

特に自民党は、外部通報は裏切りだ、密告を奨励するわけにはいかない、日本の文化的特性に配慮すべきだと言い立てて、保護されるべき公益通報にやたらめったら条件を付けてしまいました。これでは、これまで被害防止などに大きな役割を果たしてきた数々の勇気ある告発が保護の対象にならなくなってしまいます。このことは通報を考えている労働者を萎縮させ、被害の未然防止の道を閉ざすだけではありません。高いハードルを設定して、この条件に当てはまらない公益通報者は保護しないと政府が法律によって宣言し、さらには、公益通報を不適切な行為であると認定するのと変わらなくなってしまいます。

竹中大臣は、告発者たちの勇気ある行動をどう評価されているのでしょうか。そして、この方たちが払わされている代償について十分な認識を持ってこの法案に反映させたとお考えになっているのかどうか、お聞かせ願います。

以下、法案の具体的な問題点について質問をさせていただきます。

政府案では、保護される公益通報者の範囲を労働者に限定して、その公益通報者に対する保護を解雇、降格、減給等の禁止といった雇用上の不利益取扱い禁止に限定しております。これでは範囲が狭過ぎます。例えば、私たちの記憶に新しい、そして公益通報の意義を改めて知らしめた雪印乳業の牛肉偽装事件を告発した西宮冷蔵のような取引事業者からの通報は保護されないことになります。

民主党は、下請等事業者を保護の対象とすべきと主張し、衆議院で修正要求をしていますが、竹中大臣は、取引自由の観点から慎重に検討すべきとの見解のようです。公益のために通報を行った取引先に不利益を与えることが、取引自由の範囲だという議論だと考えていいのでしょうか。事業者等を保護の対象としなかった理由を、衆議院での質疑を踏まえて改めてお聞かせ願います。

政府案では、通報対象事実の範囲をわずか七本の法律と政令で定める、罰則による担保のある法令に限定をしています。政府案をぱっと見れば、法律違反でなければどんなに悪いことをしてもいいと言っていると読めてしまいます。そして、もっとよく政府案を見ると、法律違反をしても、その法律がこの七つの法律、政令で定めた法令でさえなければいいと読めてしまいます。一般常識から懸け離れており、納得できません。

そもそも、健康や安全にかかわる法令は後追い規制になりがちであることは私たちが度々国会で指摘してきたとおりです。過去の例では薬害エイズ、シックハウス、最近の例では回転ドアや遊具等の事故については罰則で担保された法令はなく、したがって通報しても保護の対象にはなりません。

竹中大臣、最低限、法令一般に違反する事実を通報対象事実として保護の対象にすべきですし、民主党の修正案のように、法令違反ではなくても生命や健康に重大な影響を与える事実を対象に加えるべきではありませんか。

竹中大臣は、政令で定める法令について、国民生活への影響を見ながら機動的に対処するとしていますが、どのような法律がどの程度対象法令とされるかによってこの法案の意味合いが全く異なってしまいます。このような重要なことを、国会での審議の対象となる法文ではなく、政令に対象法令の指定をゆだねてしまったことは全く不適切だと思いますが、どう思われますか。

せめて審議の前提としてお聞かせいただきますが、二月の要綱段階で別表に明記された四百八十九の法令のうち、幾つぐらいを対象法令とすることを考えているのでしょうか。数が言えなくても、おおよそのイメージを示していただきます。ほぼすべてでしょうか、八割程度でしょうか、半分程度でしょうか、それとも、一、二割程度、あるいはそれ以下でしょうか。

竹中大臣は、通報対象事実を罰則の担保のある法令違反に絞った理由を、基準を明確化するためだとしています。そうやって当事者の間の見解の相違を防がないと、制度の運営に混乱が生じるという主張のようです。しかし、制度の運営に混乱を生じさせないことを国民の生命、健康、財産を守ることより優先していいのでしょうか。

また、イギリスの英国公益開示法では罰則の有無を問わない方式を取っていますが、そのイギリスでは問題になるような混乱が生じているのでしょうか。

そもそも、竹中大臣がそんなに重視される制度の運営の混乱とはどういう意味なのか、議論の混乱を避けるために、その意味するところを御説明願います。

さらに、竹中大臣は、通報しようとする業務に携わっている人は関係法令について一定の知識を有しているだろうという見解を示されています。しかし、幾らその業務に携わっていると言っても、一般の労働者に法令違反であるかどうか判断できるだけの正確な知識を要求するのは非現実的ではないでしょうか。

また、法令の明文化によって、自分が行おうとする通報が保護の対象となるかどうかについての予測可能性が増して通報しやすくなるということですが、政府案のような狭い規定の仕方では、何を言っても保護されないだろうという予測しかできないのではないでしょうか。これでは、ただでさえ不安を抱える通報者をますます萎縮させてしまいます。そして、それでもなお決断して通報を行った通報者が保護されないことになってしまいます。こうした指摘について、竹中大臣はどうお答えになるのでしょうか。

政府はまた、保護の対象となる通報の中身を、通報対象事実が正に生じようとしている旨としてしまいました。つまり、個人の生命や健康に重大な影響を及ぼす法令違反などが発生する可能性があって、労働者がそのことで早めにだれかに通報してそれを防ごうと思っても、切迫した事態になってからでないと保護できない、可能性があるだけで通報するなら自己責任でということになってしまうのです。政府も、年末に示した骨子案では、「まさに生じようとしている旨」ではなく、より幅広に、「生ずるおそれがある旨」としていたではありませんか。これもこの公益通報保護法の意義を損ねる深刻な後退です。

これについても、竹中大臣は衆議院で、生じるおそれがある旨としてしまうと当事者の認識の相違を生む可能性があるなどと言っております。しかし、当事者の間で見解の相違がないようなケースばかりを対象にしていては現実の対応に間に合いません。また、正に生じるおそれがある旨としたところで、抽象的な表現である以上、当事者間で見解の相違が生じることに変わりはないのではないでしょうか。竹中大臣の見解を伺います。

外部通報先について条件が厳し過ぎ、例えば国民生活センターに相談をした場合などは保護の対象とはならないと思われます。ただでさえ孤独な通報者を支えるために外部通報先の範囲を広く認めるべきであり、これも民主党の修正案が求めるとおり、通報対象事実の発生若しくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者を、資する者、つまり役立つ者と改めるべきです。

一体、政府案では、国民生活センター、消費者団体やNPO、労働組合、そして国会議員への通報、相談は、保護の対象になるのでしょうか。竹中大臣に政府としてのお考えを伺います。

また、政府案では、他人の正当な利益等を尊重することを課していますが、そもそも公益通報の定義において、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正な目的ではなくとされており、十分担保されています。こんな当たり前のことにまで二重の縛りを掛け、ますます公益通報を萎縮させる必要があるのでしょうか。民主党は、このような規定は削除すべきと考え、これも修正案に盛り込んでいますが、竹中大臣はどのようにお考えでしょうか。

さて、この法案が万が一成立してしまった場合の見直し規定について、政府案は、公布から二年以内に施行、見直しは施行後五年後に行うこととなっておりますが、これでは、法案成立後、見直しまで最大七年掛かることになります。余りにも長過ぎます。民主党は、公布から一年以内に施行、見直しは施行後三年以内に行うという修正を訴えていますが、竹中大臣はどのようにお考えでしょうか。

以上、訴えてきたとおり、私たちは、この法案が、公益通報者を保護する法案ではなく、公益通報の条件を狭く限定することで、ごく例外的な場合だけ公益通報を認めて保護し、あとはなるべく公益通報を発生しないようにしようとする公益通報思いとどまらせ法案になっているのではないかと危機感を抱いています。

公益通報者保護法は、公益通報者の保護というこれまでルールがなかったところにルールを定めるもので非常に重要です。まずは実績を見ながら発展させるべきという意見もありますが、最初の一歩を間違えては取り返しの付かないことになってしまいます。是非、民主党の修正案の内容を真剣に取り上げることを、竹中大臣だけでなく、この本会議場に座っている与党の議員の皆さんにも訴えたいと思います。

もし修正ができないというならば、せめて、腰の定まらない抑制法案を撤回し、拙速に大事な制度をスタートすることを踏みとどまるべきだと考えます。竹中大臣のお考えをお聞かせください。

最後に申し上げます。

すべての組織が誤りを犯し、抱え込んでしまう要素を持っています。人間の弱さ、ちょっとした気の緩みが積み重なったとき、それは何かのきっかけで本来犯してはならない不祥事につながる可能性があるのです。そして、その不祥事の結果が個人や社会に向かったとき、私たちの命や健康、有形無形の財産が危険にさらされたり人権侵害が引き起こされたりします。残念ながら、そういうことは起こり得るし、現に起こってきました。そして、その誤りを正し、この社会を救ってきたのは、多くの場合に、やむにやまれぬ個人の告発、本来の意味での公益通報だったのです。

マスコミによる派手なスクープ、国会での爆弾質問も、実はそうした、社会を良くしたい、不正を許してはいけないという思いにつき動かされた名もなき告発者の声がきっかけになっていることが少なくありません。この人々の勇気がなかったら、不正がやみに葬られ、被害者が泣き寝入りをしなくてはならなかったかもしれないのです。しかし、そうやって声を上げた正義の人々は往々にして迫害され、苦しんでいます。

良識の府参議院に身を置く私たちがしなければならないのは、勇気ある告発者を保護する堂々とした法律を作ることではないでしょうか。それが正義に報いることであり、私たちの社会の健全な自浄機能を守ることです。

私たちがこうした法律を作ることは使命であるということを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)

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○国務大臣(竹中平蔵君) 岡崎議員から詳細な御質問を賜りました。

まず、公益通報という行為の評価及び通報者が払っている代償への認識についてのお尋ねがございました。

そもそも、犯罪行為や法令違反行為は許されるものではありません。事業者による法令遵守を確保し、国民の生命、身体、財産などへの被害を防止していく観点から、公益のために通報する行為は正当な行為として評価されるべきと考えております。また、このような公益通報者が事業者から解雇その他の不利益な取扱いを受けることは社会的公平を欠くものであるというふうに認識をしております。

本法案は、こうした認識の下に、公益通報者の保護に関する制度的なルールを明確化するために提出することとしたものでございます。

下請等事業者を本法案の保護の対象としなかった理由についてのお尋ねがございました。

下請事業者などの事業者を本制度の対象に含める場合には、本来、自由な意思に基づいて行われるべき事業者間の取引関係に国として何らかの制限を加えることを意味します。国民生活審議会における審議におきましても、このような事業者間の取引関係の保護につきましては、どのような不利益をどのように保護すべきかについて慎重に検討すべきという意見があり、意見の一致が得られなかったところでございます。

本法案の通報対象事実の範囲についてのお尋ねがございました。

本法案では、このような国民生活審議会での議論も踏まえまして、慎重な検討が必要との判断から通報者には含めなかったものでございます。

本法案の通報対象事実の範囲につきましては、食品偽装表示事件など近年の企業不祥事の発生状況や国民生活審議会の提言を踏まえまして、国民生活の安全や安心に資するという観点から、国民の生命、身体、財産等の利益の保護にかかわる法令違反を対象としたものでございます。

また、犯罪行為や法令違反行為に当たらない生命や健康に重大な影響を与える事実というのを本法案の通報対象にすることにつきましては、通報の対象範囲を不明確にする、それによって通報者と事業者の間で見解の相違が生じて、制度の運用に当たって混乱が生じるために、通報者保護の観点から適当ではないと考える次第でございます。

政令に対象法令の指定をゆだねたことについてのお尋ねがございました。

本法案が対象とする国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の範囲については、この法案の別表におきまして、刑法、食品衛生法など七つの法令を例示しております。また、個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護等々の分野を例示しております。その上で政令にゆだねているものでありまして、このような委任が不適切とは考えておりません。

政令の制定に当たりましては、パブリックコメントなどにより各方面の意見も聴いて、対象法令を適切に定めていきたいというふうに考えております。

政令で定める対象法令の数についてお尋ねがございました。

御指摘の四百八十九本の法律のリストについては、本法案の立法過程における政府内部の検討資料であり、政府として対象法令として決定したというものではもちろんございません。対象法令については、法令違反行為が国民の生命、身体、財産等に及ぼす被害の大きさ等々を精査し、またパブリックコメントなどを通じて各方面の御意見も伺った上で幅広く適切に定めたいと考えております。

したがいまして、現段階でどの程度の数の法律を政令で定めるかについてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

制度の運営の混乱とはどういう意味なのかというお尋ねがございました。

本法案の保護の対象範囲が不明確な場合には、例えば労働者が保護対象となると信じて通報しても、事業者側は保護対象ではないと判断して通報者を解雇するおそれが生じます。この場合は、たとえ裁判を通じて通報者が保護されることとなったとしても、それまでの間は通報者が不安定な立場に置かれることになります。本法案では、このような意味で制度運営の混乱をできるだけ避け、保護される通報の範囲を明確にすることによって公益通報者の保護を図ろうとするものであり、制度運営を国民の生命、健康、財産を守ることより優先させてよいと考えているものでは決してございません。

なお、イギリスでは労働関係の紛争について迅速に解決を行う専門の裁判所が存在しておりまして、我が国とは制度的な背景が異なることを踏まえて制度を立案すべきであるというふうに考えます。

労働者が法令違反であるかどうか判断できるのかというお尋ねがございました。

労働者は、一般国民とは異なり、自らが従事する事業に関連する情報については一定の知識を有していると考えております。ただし、すべての労働者が従事する事業に関連する法令について正確な知識を有しているとは必ずしも言えないということも十分に認識をしております。このため、本制度の施行に当たりましては、対象法令の範囲等について、例えば業種ごとにどのような事例が公益通報の対象となるかを具体的に示すなど、労働者にとって分かりやすい広報に努めてまいる所存でございます。

「まさに生じようとしている」との規定の趣旨についてお尋ねがありました。

生ずるおそれがあるという規定では、労働者が生ずるおそれがあると信じて通報した場合でも、事業者側はその蓋然性が低かったとして通報者を解雇する可能性があります。また、犯罪行為や法令違反行為が発生する蓋然性が低い状態で通報がなされた場合には、事業者の正当な利益が害されることも考えられます。このため、保護される通報の範囲をより明確にする表現として「まさに生じようとしている」と規定し、通報対象事実の発生が切迫している場合を対象とすることを明らかにすることが適当であるというふうに考えております。

外部通報先の範囲についてのお尋ねがございました。

御指摘の国民生活センターや消費者団体、NPO、労働組合及び国会議員は、いずれもこの法案第二条第一項に定める外部通報の要件である通報対象事実の発生若しくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者に含まれると考えており、この規定を修正する必要はないものと考えております。

なお、通報前に、ある事実が法令違反に当たるかどうか、通報した場合に保護されるかどうかなどについて助言を受けるための相談につきましては、通報に当たらないものの、これは相談を理由として事業者が解雇等の不利益な取扱いをすることは、本法案で保護を行うまでもなく、当然に許されないものであるというふうに考えます。

法案第八条の他人の正当な利益等の尊重に関する規定を削除すべきというお尋ねがございました。

不正の目的でなく行われた公益通報であっても、犯罪行為や法令違反行為とは関連しない第三者の個人情報や営業上の秘密など事業者の有する内部情報が併せて通報された場合には、これは結果として他人の正当な利益や公共の利益が害されることがあり得ます。本法案第八条の規定は、公益通報をする労働者は、このような他人の正当な利益や公共の利益にも配慮するよう努めることを規定したものでありまして、公益通報を萎縮させるものではなく、必要な規定であるというふうに考えております。

法案の施行期日及び見直し期日、これを前倒しすべきとのお尋ねがございました。

本法案は、営利企業、行政機関、各種の非営利団体など、あらゆる事業者を対象とする制度であります。したがって、制度の周知、事業者の通報受付体制の整備など、十分な準備期間を設ける必要がございます。これを踏まえまして、公布後二年以内の政令で定める日から施行するものとしたものであり、施行までの期間を短縮することは適当ではないと考えております。

また、見直しの時期につきましては、法律の施行後三年程度は運用状況を見極めた上で検討を行いまして必要な措置を講ずることが必要と考えまして、五年後を目途に必要な見直しを行うこととしたものでございます。したがって、見直しまでの期間につきましても、短縮することは適当ではないと考えております。

最後に、政府案を撤回すべきではないかとのお尋ねがございました。

本法案は、公益通報者の保護を法的に明確化するという意義を有するものでございます。公益通報者に勇気を与え、事業者のコンプライアンス経営を促進するものとして最良のものと考えておりますので、政府案を撤回する考えはございません。

何とぞ趣旨の御理解を賜りたいと存じます。(拍手)